当院は、かかりつけ医の先生方と共同で診療を行う開放型病院であり、また、地域医療支援病院として、幅広い年齢層の患者さんに、紹介患者に対する医療と救急医療の提供を行っております。年齢層においては、60歳以上の占める割合が全体の57%となっており、疾患別にみると消化器疾患、呼吸器疾患、次いで循環器疾患となっております。
また、小児救急医療拠点病院として24時間365日、小児科医師による診療を行っていますので、10歳未満の占める割合も全体の22%となっております。
小児科では食物アレルギー負荷試験の検査入院が多く、続いて上気道炎、気管支炎、喘息といった呼吸器系疾患の症例が上位を占めています。
当院は2019年に熊本県アレルギー疾患医療連携病院に認定されたことを機に、アレルギー診療センターを設立し、アレルギーの診療および人材育成に力を入れております。また、小児救急医療拠点病院として24時間365日、小児科医師による診療を行っており、急性疾患の短期入院が多くを占めています。長期治療を要する疾患児や慢性疾患児は、患児にとってより相応しい他病院の小児科と連携して診療を行っています。
消化器内科では小腸大腸の良性疾患(大腸ポリープなど)、胆管結石、胆管炎等の胆道疾患の症例が多く、内視鏡的に治療しています。当院の内視鏡室は、専門的な内視鏡技師・看護師を配置しESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)をはじめ、先進的な取り組みを行っており、ERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)やEUS(超音波内視鏡)等による治療も充実しています。
当院は夜間休日診療を行っており、大腸憩室(大腸の壁が袋状に外に飛び出すくぼみ)のある方で、腹痛や発熱をきたす大腸憩室炎や大腸憩室出血、大腸の血流障害により大腸粘膜に炎症や潰瘍が発症し、腹痛・下痢・下血を来たす虚血性腸炎の症例が多くなっています。消化器がんも診断から内視鏡治療、抗がん剤化学療法、緩和医療まで、高度な治療に取り組んでおり、肝臓がんの入院治療で肝動脈塞栓術(TACE)も多く行っています。
外科の患者数は、胆石症や胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術が最も多く、次いで結腸直腸(虫垂を含む)の悪性腫瘍に対する化学療法、急性虫垂炎の緊急手術、15歳以上の鼠径ヘルニア手術、膵臓の悪性腫瘍に対する化学療法の順となっています。
熊本県指定がん診療連携拠点病院として、外科では悪性腫瘍に対する集学的な治療を行っており、手術だけではなく、化学療法なども積極的に行っています。
呼吸器内科では、呼吸器疾患全般にわたる診療を行っております。症例数としては高齢者に特有の誤嚥性肺炎が多く、患者さんの平均年齢は85歳を超えています。肺胞の壁に炎症が起こり、壁が厚く硬くなり、肺の膨らみが悪くなる間質性肺炎の症例や、肺炎、気管支炎症例が多くなっています。高齢者は合併症も多く難治化しやすいため、入院期間も長くなる傾向にあります。肺の悪性腫瘍に対する治療も精力的に行っており、症例数としては抗がん剤化学療法が多く、内視鏡治療(気管支鏡など)も積極的に行っています。
循環器内科では、人口の高齢化に伴う高齢者の心不全症例が多くなっています。高齢者心不全は種々の心疾患を背景に、多くの問題を抱えているため、他診療科と連携しながら入院管理を行っています。次に多いのは睡眠時無呼吸の検査入院で、外来でスクリーニングを行った後、無呼吸が疑われる患者さんについては、1泊で終夜睡眠ポリグラフィーを行っております。
狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患に対しての検査入院では、心臓カテーテル検査を行います。心臓カテーテル検査で冠動脈の狭窄や閉塞があった場合は、経皮的冠動脈ステント留置術を行い、冠動脈を拡張し、心臓への十分な血流量を確保します。徐脈性不整脈(洞不全症候群や完全房室ブロック等)の治療においては、ペースメーカー移植術を行い、調律の異常を補正します。
厚生労働省の集計条件に基づき、患者数が10未満の場合は「-」の表示としています。
糖尿病代謝内科では、糖尿病全般、内科系甲状腺疾患、動脈硬化性代謝疾患を中心に診療を行っています。症例数としては、糖尿病の教育入院や、糖尿病の合併症(神経障害、網膜症、腎症、ケトアシドーシス(高血糖性の急性代謝失調))に伴う入院が多くなっています。
厚生労働省の集計条件に基づき、患者数が10未満の場合は「-」の表示としています。
当院は、熊本県より県指定がん診療連携拠点病院の指定を受け、がん治療を行うとともに、他医療機関(地元の開業医)と連携した診療を行うためのツールである「私のカルテ」を導入しています。
当院の5大癌の割合は胃癌16.8%、大腸癌45.4%、乳癌7.0%、肺癌23.4%、肝癌7.4%であり、大腸癌が多くを占めており次に肺癌となっています。
早期のStage Ⅰが56.0%と一番多く、次にStage Ⅳが多く25.3%となっています。早期がんには内視鏡治療が多く行われ、Stage ⅠからStage Ⅳの進行度に応じて手術・化学療法が行われています。
Stage Ⅳが最も多く全体の44.1%を占めています。次いでStage Ⅲが19.8%、StageⅡが13.9%となっており、それぞれの進行度に応じて手術・化学療法が行われています。またStage Ⅰでは内視鏡治療・手術が行われています。
Stage Ⅰが最も多く64.5%を占めています。Stageの進行度に合わせた治療が行われ、手術はおよそ30件行われています。
Stage Ⅳが最も多く35.6%、次いでStage Ⅲが約31.7%となっており、化学療法が主な治療になっています。Stage Ⅰ・Ⅱでは進行度に応じて化学療法が行われています。
Stage Ⅰが36.4%、StageⅡが12.1%、StageⅢが24.2%、StageⅣが27.3%となっています。Stage Ⅰ~Ⅲでは進行度に応じて肝部分切除術・肝動脈塞栓療法・ラジオ波凝固療法が行われています。StageⅣでは肝動脈塞栓療法・ラジオ波凝固療法・化学療法が行われています。
厚生労働省の集計条件に基づき、患者数が10未満の場合は「-」の表示としています。
市中肺炎とは、普段の日常生活の中でかかる肺炎のことです。
全体で見ると「軽症~中等症」までの割合は8割となっています。年齢別に見ると「軽症」の平均年齢は50歳台であり、「中等症以上」は平均年齢が80歳台前後の高齢者で、高齢になるほど重症化しやすく、平均在院日数も重症度が増すほど長くなる傾向にあります。
当院では呼吸器内科で肺炎の治療を行っており、併存する別疾患があれば、各診療科と連携し治療を行っています。
厚生労働省の集計条件に基づき、患者数が10未満の場合は「-」の表示としています。
当院では発症日から3日以内の急性期脳梗塞の入院の割合は41.6%で、平均年齢は74.2歳と高齢者が多くなっています。
迅速な検査で診断、治療を行っています。治療後は自宅退院へ向けて、回復支援病棟(地域包括ケア病棟)にてリハビリを行い、発症日から3日以内の急性期脳梗塞の入院の92%の方が自宅退院されています。また8%の方はリハビリを継続するために回復期を担う医療機関に転院されています。
厚生労働省の集計条件に基づき、患者数が10未満の場合は「-」の表示としています。
消化器外科では、消化器外科では年間約700例以上の手術を行っています。胆嚢結石症や急性胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術が最も多く、入院期間は概ね11~12日間です。次いで急性虫垂炎に対する腹腔鏡下虫垂切除術が多く、そのうち約87%は緊急手術です。小児から成人までの幅広い年齢層で虫垂炎手術を実施しています。3番目は鼠径ヘルニアの手術で、虫垂炎と同様に幅広い年齢層で手術を行っています。当院の鼠径ヘルニア手術の約24%は10歳未満です。成人鼠径ヘルニア手術の53%は腹腔鏡手術を行っています。
悪性腫瘍に対する手術は、切除部位や範囲により手術項目が細分化されているため、上位には計上されていませんが、熊本県指定がん診療連携拠点病院として、外科は悪性腫瘍の手術に積極的に取り組んでいます。外科手術の22%は悪性腫瘍の手術で、胃癌、大腸癌、膵臓癌、胆嚢・胆管癌、乳癌の症例が多くなっています。
当院は日本肝胆膵外科学会高度技能修練施設に認定されており、膵臓癌、胆道癌、肝臓癌などの難治癌手術も数多く手がけています。また、日本内視鏡外科学会技術認定医が1名在籍しており、腹腔鏡下手術も積極的に行っています。
消化器内科では、内視鏡を用いた手術症例が多く、胃・十二指腸、特に大腸(結腸から直腸)のポリープや腫瘍(腺腫、早期がん)に対する内視鏡手術を多く行っています。入院当日に手術することが多いので、短期入院での治療になります。胆道疾患(総胆管結石、胆管炎等)に対して胆汁の流れを良くするために、胆道にチューブを留置する内視鏡的胆道ステント留置術や、胆管結石を取り除く内視鏡的胆道結石除去術も多く行っています。
また、肝臓がんに対する治療で、肝動脈塞栓術(TACE)を30件以上行っています。肝動脈塞栓術(TACE)は、足の付け根の動脈からカテーテルを挿入し、肝臓内の腫瘍に栄養を運んでいる細い動脈までカテーテルを進め、そこで抗がん剤を注入してその後に塞栓物質を入れて動脈の血流を遮断し、腫瘍細胞を壊死させる治療法です。
消化管止血術は、胃潰瘍出血・十二指腸潰瘍出血の症例に対して行われます。内視鏡的消化管止血術は、針を刺して止血のための薬剤を注入する方法と、内視鏡の止血用に開発された特殊なクリップによって血管や潰瘍をつまんで止血する方法等があります。
重篤な疾患である播種性血管内凝固症候群と敗血症、その他の真菌症、手術・術後等の合併症について発症率を集計しています。
医療資源を最も投入した傷病名と入院の契機となった傷病名が同一かそれ以外で症例数を集計しています。
播種性血管内凝固症候群とは、全身の微小な血管の障害及び血管が詰まることにより臓器に障害が現れます。がんや重症の感染症など、非常に重い病気を持つ患者に発症することがあります。また、様々な感染症などから血液に病原菌が入り、敗血症になることがあります。
術後の合併症は、手術や処置などの医療行為がもとで生じる疾患です。起こりうる合併症について事前に十分な説明を行うとともに、院内感染対策委員会を設置し、感染の防止に努めています。
当厚生労働省の集計条件に基づき、患者数が10未満の場合は「-」の表示としています。